アイスワインとは主にドイツやカナダなどで造られている極甘口のデザートワインのことで、外気温が-7℃以下になるまで収穫を待ち、凍ったブドウで造るワインのこと。カナダ・ドイツの人気おすすめアイスワインもご紹介したいと思います。
目次
アイスワインとは?
1790年代に冬の寒さが厳しいドイツのフランケン地方で、予期せぬ寒波に襲われ収穫前のブドウが凍ってしまうという災害に見舞われた生産者たちが、やむに已まれず凍ったブドウを収穫し製造したワインは、ことのほか甘く美味しいワインに出来上がったのでした。
こうして誕生したワインは、その後ほかの地域でも造られるようになり、1830年頃にドイツのラインガウ地域でアイスヴァイン(Eiswein=氷のワイン)という言葉が誕生したと言われています。
ドイツで生まれたアイスワインですが、1970年代にはカナダへ移民したドイツ人によってブリティッシュ・コロンビア州とオンタリオ州でも造られるようになり、現在カナダはドイツを抜いて世界でもっとも生産量の多い国となりました。
ドイツとカナダではアイスワインに関する規定が微妙に違ってはいるものの、その芳醇な香りと凝縮した上品な甘さは格別で、貴腐ワインと同様に希少価値が高く、デザートワインの中でも高価なワインの一つです。
アイスワインの美味しい飲み方
凝縮した甘さを持つアイスワインとなれば、冷た~く冷やして飲みたいところですが、その芳醇な香りも楽しむためにも温度は10℃くらいがおすすめです。
冷蔵庫で保管してあったものなら30分~1時間くらい前に出しておくと丁度いいですね。
出来ればグラスにもこだわって、飲み口のところが少し開いた小振りのチューリップ型のグラスが用意できれば完璧です。
そしてグラスの4分の1くらいのところまで注ぎ軽くグラスを揺らすと、グラスの中に芳醇な香りが充満して、きっと幸せな気分になりますよ。
ケーキなどのデザートと一緒に頂くよりは、少し時間をかけてワイン単体で楽しむ方が良いかと思います。
バニラアイスやカットしたフルーツにかけたりして召し上がっても美味しいですよ!
カナダ産人気おすすめアイスワイン
1970年代からカナダに移民したドイツ人によって始まったアイスワイン造りですが、本場ドイツを追い越し、今や世界一の生産国となりました。2015年現在、約600ものワイナリーがひしめき合い、白・ロゼ・赤と多様なワインが造られていて、その評価は年を追うごとに高まっています。ワイン法による非常に厳しい規定や官能検査をクリアした、高品質なおすすめのアイスワインをご紹介いたします。
「キングス・コート・ワイナリー ヴィダル・アイスワイン」(375ml)
カナダで人気があるのは「ヴィダル」という白ブドウで造ったアイスワイン。熟したリンゴや洋梨、フルーツコンポートなどのふくよかな果実香があり、トロミのある甘さの中に甘酸っぱい爽やかな酸味が感じられる「キングス・コート・ワイナリー」のアイスワインは、初めての方におすすめです。
「ザ・アイス・ハウス・ワイナリー ノーザンアイス・シグネチャーシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン」(375ml)
カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランという二種類の黒ブドウで造った「ザ・アイス・ハウス・ワイナリー」の赤のアイスワイン、ノーザンアイス・シグネチャーシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨンです。
こちらはプラムやダークチェリー、カシスリキュールのような黒系果実の香りで、甘酸っぱいブルーベリーのジュースにメイプルシロップを加えたような感覚の味わいです。赤のアイスワインは珍しさも手伝って、近年は人気上昇中です。
ドイツ産おすすめアイスワイン
アイスワインが誕生したドイツでは、温暖化や辛口ワインの世界的流行のためかアイスワインの生産量が少しずつ減少しているそうです。しかし、甘みと酸味のバランスに優れた豊かな味わいと、カナダ産のものよりも手頃な価格のものが多く、アルコール度数もやや低めですのでお酒に弱い方にもおすすめです。その中で特におすすめのアイスワインをご紹介いたします。
「デクスハイマー・ザンクト・ヨハンナー・ガイヤースベルク・シュペートブルグンダー アイスヴァイン」(375ml)
ピノ・ノワールから造った淡い色のロゼワインで、甘口なのにスッキリとした酸があるので飲みやすいアイスワインです。アルコール分も8%と低めで、そのままはもちろん、デザートと一緒に飲むのもおすすめです。
「デクスハイマー・ハイマースハイマー・ゾンネンベルグ・ショイレーベ アイスヴァイン」(375ml)
「ショイレーベ」から造った柔らかい酸味と程よい甘味が調和していて、とてもエレガントな印象のアイスワインです。「ショイレーベ」は果皮が厚く晩熟のブドウで、完熟するまでしっかりと健康な状態を保てる品種です。蜂蜜レモンのような味わいがあります。
まとめ
貴腐ワイン同様、希少価値の高いアイスワインは「普段飲みのワイン」とは言えませんが、健康志向から白ワインも赤ワインも辛口が世界的な主流となっている今もなお、人々を引き付けて止まない魅力的なワインです。
アイスワインの芳醇な香りと上品な甘さは、目まぐるしく変わる社会の中で、ほっと一息つけるような優しさを感じます。初めてワインを飲み始めたころは甘口のワインの口当たりの良さに感激していたのに、いつの間にか甘口よりも辛口のワインを好んで飲むようになっていませんでしたか?
あの頃は知りもしなかった芳醇なアイスワインは、すっかり辛党になった方にも、やっぱり甘党の方にも、忙しく過ぎていく毎日の中で身も心も優しくほぐしてくれる、そんな魅力的なワインなんだと思います。